伝教大師1200年大遠忌 その1(第42話)


祖師先徳讚仰大法会伝教大師1200年大遠忌
 平成24年より始まりました「祖師先徳鑽仰大法会」も、第1期の慈覚大師11150年御遠忌、平成27年より第2期に入りまして恵心僧都1000年、相応和尚1100の御遠忌、更には伝教大師ご生誕1250年の諸行事が終わり、いよいよ3年後(2021年)に迎える宗祖伝教大師1200年大遠忌に向けての諸事業が行われることになります。

 主な記念事業としては、
1、根本中堂大改修
2、浄土院(伝教大師御廟)周辺の整備
3、『天台学大辞典』の刊行
4、天台の名宝展
5、一寺報恩運動の提唱
が掲げられ、並びに発心会、特別授戒会、結縁灌頂、祖山団体参拝、写経運動の推進等が挙げられております。
 それらの記念事業を通して、宗祖大師様に報恩謝徳の念を捧げようということでありますが、大事なことは、宗祖の御教えを現代に生かし、また後世に繋げていくということに他ならないと思います。

  伝教大師様とは
 伝教大師最澄様は『大師和讃』によれば、神護景雲元年(767年)8月18日、近江の国、今の滋賀県でお生まれになり、弘仁13年(822年)6月4日、御年56歳で比叡山中堂院にて遷化されたとされております。
 ご生誕年については、天平神護2年(766年)説もあります。
 38歳の頃、中国、唐の国に渡り、天台の教えをはじめ、密教を含む多くの仏教を日本に伝え、比叡山に天台宗を開かれました。

  一目(いちもく)の羅(ら)、鳥(とり)を得(う)ること能(あた)わず
        一両(いちりょう)の宗(しゅう)、何(なん)ぞ普(あまね)く汲(く)むに足(た)らん
 伝教大師様は、仏教を以って日本の全ての人々を救うためには、一つの網の目では鳥を捕らえることが不可能であるように、一つや二つの宗の教えだけでは不充分であるというお考えから、四宗(ししゅう)融合(ゆうごう)、仏教の総合デパートと言われる天台宗をお開きになりました。
 四宗とは、円(えん)・密(みつ)・禅(ぜん)・戒(かい)の四つの教えを言います。「円」とは法華経一乗の誰でも仏に成れるという教え、「密」とは護摩等により加持祈祷する教え、「禅」とは坐禅止観をして心を統一する教え、「戒」とは様々な戒律を守り規律正しい生活を送るための教えであります。それら四つの教えを総合的に用いることにより、全ての人々が救われる仏教が確立されます。
 後に第三代座主の慈覚大師円仁様によりお念仏の教えである浄土教が伝えられ、天台宗は円・密・禅・戒・念の五宗融合の宗派となり、比叡山は鎌倉仏教の多くの祖師方を産み出す、仏教の母山と呼ばれるようになりました。
 この伝教大師様のお考えのもと、五宗全ての仏教を大切に、布教・伝道、法要・儀式の執行に努めてゆくべきものと思われます。

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