今年の漢字は「変?」(法話第19話)

 日本漢字能力検定協会が毎年行っている、「今年の世相を漢字一字で表現してください!」というアンケートに、今年は過去最多の11万1208通の応募があった。その中で一番多かった漢字は「変」であった。その選ばれた今年の漢字を、観光寺院の中でも最も有名な京都の清水寺において、代々の貫主が縦1,5メートル、横1,3メートルの和紙に大きく揮毫するということで、近年頓に大きな話題を呼んでいる。

 過去の漢字一字
 1995年から行われ始め、最初は応募数も数千台に止まっていたが、インターネットを使って手軽に応募出来るようになってからは、応募数も増加の一途をたどっている。
 ちなみに過去の「今年の漢字」は
1995年「震」、1996年「食」、1997年「倒」、1998年「毒」、1999年「末」、2000年「金」、2001年「戦」、2002年「帰」、2003年「虎」、2004年「災」、2005年「愛」、2006年「命」、2007年「偽」
であった。

 「変」
 さて、今年、平成20年の世相を表す漢字の第1位に選ばれたのは「変」であるが、応募総数のわずか5,42パーセントの6,031票である。以下第2位に「金」、第3位に「落」と続いている。
 1位に選ばれた「変」の意味は、①かわる、かえる、不安定で姿や性質が今までと違った状態になる②ふしぎな異常な出来事。天変地異、③政治上の事件や内乱・戦争、・・・・・・とある。
 「変」が選ばれた要因の一つとして、アメリカ合衆国の大統領選挙において、オバマ氏が「イエス ウィ キャン」というセリフで「チェインヂ」(変革)を訴えて見事当選を果たしたことが挙げられた。何も日本の世相を表わす漢字一文字にアメリカの大統領選挙を引き合いに出すことはなかろうに、と思ったが、今年からは世界の世相を表わす漢字一字になったのだろうか?

 「無常」
 「変」という漢字の意味は、「かわる」ということであるが、「かわる」ということを仏教では「無常」という。大辞泉によれば「無常」とは、「①この世の中の一切のものは常に生滅流転(しょうめつるてん)して、永遠不変のものはないということ。特に人生のはかないこと。また、そのさま。②人の死。」であるという。「諸行無常」ともいう。
 「無常」という言葉は、大辞泉にもあるとおり、人が老い、死を迎えるといった、人生のはかなさの意味が表わすことが多いと思われますが、逆に生まれたばかりの赤ん坊が成長してゆくことも無常であり、仕事とか趣味を通して人が成長することも、やはり無常といえると思います。

 良い方へ「チェインヂ!」
 今年の世相を表わす文字「変」を、来年は良い方へ向かっての「変」(チェインヂ)にしたいものです。今の世の中は、世界的金融危機により経済的に困窮の時代を迎えております。この不況のときこそ、お互いが助け合い、分け合い、「共に生きる」という共生の精神が必要なときです。
 そして精神的豊かさを忘れずに生きてゆきたいものです。

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