霜月会(しもつきえ)について(法話第1話)
霜月(しもつき)とは、旧暦11月の名称で、中国の天台宗を開かれた天台大師智顗禅師(てんだいだいしちぎぜんじ)が、11月24日に亡くなられたため天台大師の遺徳を偲んで行なう法要を天台大師会(てんだいだいしえ)又は霜月会(しもつきえ)といいます。
天台大師さま(538~597)は、お釈迦さまの説かれた教えの中で、『法華経』(妙法蓮華経)を最も重要なお経として位置付け、『法華経』の「諸法実相」・・・あらゆる事物・現象がそのまま真実の姿であるということ・・・の教えに基づき、自らの心を修行の第一義とした仏教を大成しました。
一刹那という極微の時間に、自らの一心に三千もの現象が繰り広げられるという「一念三千」(いちねんさんぜん)の教えは、「己心中所行の法門」(こしんちゅうしょぎょうのほうもん)として、自内証を修行の目的とします。
三千とは、十如是、十界互具(百界)、三世間の組み合わせによる一応の数字でありますが、数多くの心模様が瞬時に自らの心の中に展開され、観得されるということであります。生きとし生ける者の心には、瞬時に三千という多くの現象が内蔵されるということであり、その心象の一つ一つによって一人の心が成り立っているということです。
頭上に禅鎮を載せ、坐禅止観し、沈思黙考する絵姿は、天台大師の仏道修行を象徴するものであります。