お彼岸について (法話第5話)
「春彼岸 菩提の種を 蒔く日かな」
3月の旧暦での呼び名を「弥生(やよい)」といい、生物や植物の命がいよいよ生まれてくる時期であるというような意味合いを感じさせられます。
春、秋、年2回のお彼岸は、お中日の、春分の日、秋分の日を中心に前後3日間ずつ、計7日間からなります。お中日には、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。その真西に沈む夕日に、故人や先祖の冥福を祈り、又自分自身の来世往生を願ったりします。
日本では、平安時代頃から行なわれていると伝えられております。『日本後記』によれば、平安時代に非業の死を遂げた早良(さわら)の親王の怨霊を鎮めるための法会が、その起源とされます。
時の桓武天皇の同母弟である、早良の親王は、いったん出家していましたが、桓武天皇の即位とともに皇太子となり、延暦4年(785)、藤原種継暗殺事件に連座して、乙訓寺に幽閉され、淡路に流される途中で死去してしまいました。
その後、皇室に不幸が続いたため、これは親王のたたりであるとされ、早良親王慰霊のため崇道天皇と追尊し、諸国国分寺の僧に、春秋の七日間をもって、その慰霊法会を営なませたそうです。これがわが国における「お彼岸」の起源と言われております。
「暑さ寒さも彼岸まで」 このよい気候のときに、ご家族そろって、ご先祖と語らいに、墓参をして下さい。