お盆と施餓鬼(法話第8話)
今年の関東の梅雨明けは、平年の10日以上も遅く、毎日ジメジメした日が続きました。8月に入ってからはやっといつもの夏らしく、暑い日が続いております。そしていつもの年のように、夏の様々な行事が執り行われます。甲子園の高校野球大会、広島・長崎の原爆記念日、そして終戦記念日・・・・・・・。終戦記念日の8月15日は、ちょうど月遅れのお盆と重なります。私は、毎年、日本武道館で行なわれる全国戦没者追悼式の模様を、お施餓鬼出仕のために一乗院さんから西光寺さんへ移動の車中のラジオで聞きます。残暑がいやが上にも増してきます。今年も暑くなりそうです。
盂蘭盆(ウランバナ)=倒懸。「逆さに吊るされるほどの苦しみ」という意味を原語にもつ「お盆」。今は亡きご先祖様の霊を、ローソクの灯火に託して我が家へ連れ帰り、3日間を共に過ごす。日本固有の麗しき宗教的慣習ではないしょうか。
お釈迦様の十大弟子の一人、目連尊者が、亡き親を「餓鬼道」の苦しみから救い出すために行なわれた法要が「盂蘭盆供養」であります。したがって、お盆に「施餓鬼供養」をしましょう、ということになります。 「施餓鬼供養」とは、やはりお釈迦さまの十大弟子の一人の阿難尊者が焔口餓鬼(口から炎を吐き出す鬼:鬼とは古来より死者のことをいいます)が夢枕に立ったのを見て、餓鬼道から救い出すために沢山の飲食を供えて供養したことに習って始められました。
お盆と施餓鬼の話しの由来は異なりますが、話の内容が類似しているので、混同して伝えられている向きもあるようです。
それにしましても、昨今はペットブームとやらで、ペットが死んだ場合も、大層な葬儀をするということを聞きました。そういう方は、やはりペットのお盆や施餓鬼もやるのでしょうか?いや、「施餓鬼」とは言わず、「施畜生」というのでしょうか?