ご本尊について (法話第10話)

 信仰や祈祷の対象として、寺院や仏壇の中央に安置する仏・菩薩の像を本尊といいます。釈迦牟尼如来、薬師如来、阿弥陀如来などの如来と呼ばれる仏さま、観世音菩薩、文殊菩薩、地蔵菩薩などの菩薩さまなど、その宗旨や寺院によって様々です。
 また、お守りとして身辺に付けて携帯される仏・菩薩の像や、絵姿、曼荼羅なども守り本尊などと呼ばれ、本尊の一種類とされます。
 天台宗の本尊は、所依のお経である『法華経』に説かれている「久遠実成の釈迦牟尼如来」(永遠のいのち、無限の力をそなえられた宇宙の本体としてのお釈迦さま)であるとされます。
 天台宗の寺院のご本尊には、阿弥陀さま、薬師さま、観音さま、地蔵さま、不動さまなどをお祀りしてありますが、それらは皆、『法華経』に説かれている「久遠実成の釈迦牟尼如来」の分身であり、同一体でありますから、どの仏・菩薩さまでも、縁にしたがってお祀りし、敬信いたします。
 檀信徒各家のお仏壇においても、寺院のご本尊と同じことであり、縁にしたがってお祀りいたします。檀徒各家のお仏壇では、中心にご本尊を安置し、その脇や前に故人のお位牌を置き、ご先祖さまの冥福をお祈りすることが一番の目的といえるでしょう。
 天台宗の来世思考としては、西方極楽浄土に往生することを最高の至福といたします。そこでお仏壇のご本尊としては、阿弥陀如来が一番ふさわしいということになります。なぜならば、阿弥陀如来は西方極楽浄土の教主といわれており、亡くなられた方々は皆、阿弥陀如来に守られているからなのです。その西方極楽浄土を、この世に表わしたものがお仏壇なのです。したがってお仏壇のご本尊としては阿弥陀如来が宜しいということになります。
 また、天台宗のお仏壇のご本尊の両脇には、高祖天台大師と宗祖伝教大師ををお祀りいたします。仏教を私たち地域や時代に伝えて下さった祖師に尊崇の念を表わします。

2006-10-07 天台宗の教え(1) (法話第11話) お塔婆について(法話第9話)
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