天台宗の教え(1) (法話第11話)
天台宗は今から1200年前、伝教大師最澄上人により比叡山に開かれました。
最澄さまは「一目の羅、鳥を得ること能わず。一両の宗、何ぞ普く汲むに足らん。」(一つの目の網では鳥を捕まえることが出来ないように、一・二の宗派でどうして全ての人々を救うことが出来ようか。)と述べられ、奈良の六宗に加え、天台宗が公認されるよう上申いたしました。 時に延暦25年(806)1月26日、勅許を得て天台宗が開宗されました。爾来、比叡山ではその法灯を今日まで守り続けてまいりました。
ちなみに当j寺は、天長5年(822)、慈覚大師円仁さまにより開創され、1184年の歴史を有すると伝えられております。
天台宗の教えは、円・密・禅・戒・念の五つの教えから成ります。特に顕教と呼ばれる円(法華経)・禅(坐禅止観)・戒(戒律)・念(浄土念仏)の四つの教えと、密教を融合させた、顕密一致の教えを標榜しております。
顕教とは、仏教の中で、言語や文字で表わされた教えのことを言います。顕教は円(法華経)、禅(坐禅止観)、戒(戒律)、念(浄土念仏)の四つのカテゴリーに分けて説かれます。
密教とは、仏教の中で、言語や文字では表せない深遠な教えのことを言います。
その後天台宗の教えは、修験道などの山岳信仰や山王神道の影響を受け(神仏習合)、さらには日本古来の土着の民俗信仰とも深く関わりを持ちながら今日に至っております。
天台宗の所依のお経は、法華経を中心とした全ての経典ということになります。
華厳経、維摩経、般若経、涅槃経、梵網経、阿弥陀経などの顕経の経典、また大日経、金剛頂経などの密教経典も天台宗では所依の経典と言えるでしょう。
そのように、天台宗ではあらゆる仏さまを大切にお守りするとともに、全ての経典に説かれている事柄を融合して、上記のような円・密・禅・戒・念の五つの教えとして伝えられてきております。