信州別所の古寺古塔と「天地人」ゆかりの地を巡る旅(法話第23話)

 信州の鎌倉と言われる別所温泉に「北向観音」と呼ばれるちょっと変わった寺がある。何が変わっているのかといえば、そのお堂の向いている方角である。通常寺院のお堂は南向きに建てられることが多い。もしくは阿弥陀v如来を本尊とするお堂であると東向きに建てられることもある。ところがそのお堂は名前のとおり北を向いているのである。しかもその向いている先には、何と信濃の善光寺があるという。善光寺の一光三尊の阿弥陀如来に対峙する形で建てられているのである。

 その由来を『北向観音の縁起』より抜粋すると、「本堂が北に向いているのは、観世音菩薩出現の際、北斗星が世界の依怙(よりどころ)となるよう、我もまた一切衆生のためにつねに依怙となって済度をなさん、というお告げによるもの」といわれている。

 平成21年10月28日、福正寺檀信徒の皆さん29名と、信州別所温泉にある、天台宗別格本山の常楽寺本坊と北向観音、国宝の八角三重の塔がある安楽寺を訪れる。
 常楽寺は現天台座主半田孝淳猊下の自坊であり、天長2年(825年)に建立され、鎌倉時代に天台教学の拠点として大いに栄えた寺である。
 爽やかな秋晴れの下、参詣路を巡って歩くと、自然と融和した寺院や門前のみやげ物店が旅情豊かな趣きを感じさせてくれる。

 別所温泉を散策の後、今夜の宿泊地の戸倉・上山田温泉に向かう。宿は千曲川を渡ったところにある「千曲館」である。温泉が硫黄の香りがする本格的ないい湯であった。


 二日目は、NHK大河ドラマ「天地人」ゆかりの寺巡りである。
 先ずは上越の天地人博を観て、ドラマの内容を再確認すると共に、上杉謙信や上杉景勝の姫の衣装を身にまとい、記念写真に納まっていた。

 越後三山の麓、雪と稲穂の里、魚沼の禅寺に古き匠が遺した素晴らしい彫刻がある。西福寺開山堂にある、幕末の名匠石川雲蝶の終生の大作である。残念ながら堂内の写真は許可されていない為撮ることが出来なかった。

 天地人の主役である、直江兼続が幼少の頃に勉学と修行に励んだ雲洞庵、八代にある真田家の学問所などを散策し、しばし現代を去って戦国の御世を垣間見た思いである。

2009-11-24 施餓鬼会法話「いい死に方、悪い死に方」(法話第24話) インド禅定林参拝旅行記(3)(法話第22話)
新着情報ここまで