慈覚大師円仁さま「その2 修行」(法話第29話)

 

その2、修行(9歳~42歳)

 大慈寺に入った円仁は、広智のもと、修行に専念されました。特に、あらゆる人の救済を説いた「観音経」(「法華経」の中の一章)ニ出会い、心を奪われます。その熱意と優秀な素質を生かしてやりたいと考えた広智は、円仁を、比叡山の最澄(日本天台宗の宗祖)に託すことにしました。
 15歳にして、比叡山に登り、初めて最澄に会った円仁は、その姿が、かつて夢の中に現われた方と同じことに驚きました。その後、最澄を一生涯の師と仰ぎ、直弟子として一心不乱に修行に打ち込みました。
 20歳となって、正式な僧となるための国家試験に合格。最澄とともに、東国布教の旅に出て、懐かしい大慈寺にも立ち寄りました。
29歳のとき、師の最澄を亡くしたのちも、厳しい修行を続け、35歳からの数年は東北に至る各地を旅して、災害や飢えに苦しむ人々の救済に努めました。
 40歳になると、今までの無理がたたり、重病に罹りました。草案に籠って念仏をすること約3年。奇跡的に回復を果たしました。
 42歳のとき、第17次遣唐使の短期留学僧として、唐へ渡るという大きな使命ニめぐり逢いました。42歳といえば当時では、すでに老人に当たる年齢でした。

慈覚大師円仁 行脚像

2014-07-05 慈覚大師円仁さま「その3 求法」(法話第30話) 慈覚大師円仁さま「その1 生誕」(法話第28話)
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